陽が出れば花が咲く

種を蒔き雨が降れば育つ

18歳と25歳

 

25歳の夏。

 

始発で帰るもバスは満員。

さすがお盆。

30分の遅れで地元に着くも

いつも以上に暑い。

つい最近までは暑くてもカラッとしていたから

ダラダラ汗をかくこともなかったのに

今年は特にひどい。避暑地じゃない。

 

昼にいつも会う友達と名物を食べに行って

お互い東京でいつも会えるのにねと笑いあった。

地元の駅が無人駅なのに大掛かりな改装工事が行われていて立派になっていた。

工事の前に駅員の配置をだな…。

 

夜はまた別の友達と

初めていくお店に飲みにいってそのあとも何軒かハシゴしたけどまだ21時だ!22時だ!23時だ!終電気にしないで飲めるのすごい!!と感動して勢いでブランコ乗った。

露骨に歳をとったことを感じる羽目になった。

ブランコ漕ぐのにこんなに脚力がいるなんて知らなかった。

 

誰かが結婚した、子供生んだ、

「クスリやって歯が溶けたやつどうなった?」

「あれほんとなの?何も食べれないじゃない」

「あの人刺青増えたよね、どこまで入れるんだろう」

「あの人いまどこで何してるのかな」

「あの夫婦、高校の時付き合ってて成人式で再会したんだって」

「地元あるあるだね」

 

何も変わらないって焦るけど安心する瞬間がある。

 

次の日は子どもを生んだ友達に会いに行った

子ども、もう半年になってて

ニコニコ笑ういい子だった。

子供を生んだ友達は中学生の頃から早く子供がほしいってずっと言ってた。

高校行かずに生んだりしてって思っても生まず、

高校出たら子供生んだりしてって思っても生まず、

成人したら、今の彼が地元に戻ってきたら、生活が安定したら、

いつのまにか四年経って生んで

早くもなかった、遅くもなかったけど

ニコニコしてる子供をみて

その子どもをニコニコしながらみてる友達をみて

子供は親を選んで生まれてくるなんて言われてるのを思い出した。

物は言いようだなって斜に構えていたけれど、

友達と子ども見たときに、

長く待ち続けていたからこそこの子は友達を選んできてくれたんだろうなって素直に思えた。

お母さんしてる友達がなんだかとっても嬉しかった。夢が叶ったので。

 

「ぐずらなくていい子だね。」

「でも出かけたら大きい声出すときあるよ。言ってもまだわからないけどダメって言っちゃう。」

「反射的にね。」

「旦那や家族は可愛がってくれてる?」

「ありがたいことにね、旦那も姑も、うちの家族も可愛がってくれてる。」

「家族を繋げてくれたね。」

 

唯一無二の、愛すべき愛されるべき関係ができて本当によかった。

 

 

夜は同級会

いつものメンバーが半数来れなかったので急遽特別ゲスト枠で久しぶりの友人たちも集合

成人式ぶりだったり、この間ぶりだったり

あの頃は、なんてことは言わなくて

今にしてるの?すごいねそれ!その音楽わたしも好き!なんて

前向きな話ばかりで楽しかったな。

みんな喫煙者で、お酒飲んで、あの頃の私たちからしたらこんなこと誰も想像できなかったね。よかった。大人になれて。

 

 

帰る日のお昼は祖母の家へ

じわじわ父親と雰囲気悪くなっていたのが喧嘩に発展。

朝から口も聞かずお互い険悪ムードガンガンだし、

帰りの電車の時刻を台風の関係で早めたら

聞いていない!!!と父親もさらにヒートアップ、シカトして祖母の家でお昼をご馳走になっていたらご飯だけ食べに父親もきて

ご飯食べるだけ食べて帰るだなんてなんて礼儀のない失礼な人なんだろう、子供と一緒に怒るなんて60にもなって恥ずかしくないのか、もう二度と帰らないからなって怒るわたしも子供のままで、

自分の車で来たと思ったら電車できたから娘と一緒に電車で帰ると、

まさかの展開すぎて思わず

「本当に嫌、」と口から漏れていた。

駄々をこねたところで祖母にも母にも迷惑をかけてしまうので黙って一緒に乗って、

さすがに父も悪いと思ったか他愛もない話をふっかけてきて

ただ受け答えだけした。

 

わたしは終点まで、父は実家の最寄りまで。

実家の最寄りの次まで父は乗り

発車までわたしを見送ってくれた。

停車時間10分くらいあったのにね。

 

あんなに怒っていたのに

二度と帰らないし口もきかんからなって思ったのに

自分を認知してくれている存在をぞんざいな扱えないのは

子どもの宿命なのだと痛感した。

 

ありがとう。と手を振り返した。

 

 

おもひでぽろぽろのように、

地元に帰るたび18歳の私が視界にチラつく。

大丈夫、わたし貴方が心底なりたかった大人になって、親にも意見が言えるようになり、自分のお金で好きなものが買えるようにもなった。

歳を重ねていくたびわがままになったり我慢ができなくなってきたりひしひしと感じるけれど

18歳の私のこと、もう嫌いにならなくなった。

自分のこと大事にできてるかなんてわからないけれど、

でも嫌いにはならなくなった。

 

今回の帰省で、たくさんの友人に会えたこと、

父親にムカつきながらも父親のことを考えられたこと、

何度も通った電車に乗って新宿に帰ること

全部良かった。

18歳の私にも手を振って、ありがとうを。